確かにおっしゃる通り煩わしいですが、これを淘汰して楽をしようと思ったことはありません。フォントは欧文にかぎらず、小塚、ヒラギノ、游明朝体等々、和文フォントもバージョンによって組版結 果が変わることがあり得るからです。
nicoriさんがどのようなスタンスで仕事をされているかわかりませんが、印刷会社の組版オペレーターのいち個人としての私見です。
OSが「フォント名(正確にはPostScript名)」でフォントを判断するので、同じ名前ならば競合します。これは仕方のないことです。同じ名前のファイルが同じフォルダ内に存在できない と思っていただければ。
共存が可能か、というのは、どのレベルの共存なのでしょう。T1フォント、OTF、TTF、TTC、同じような名前の形式違いを全部アクティブにして日常業務をこなすことが可能か、という意味 でしょうか。
それってフォントを選ぶ時に大変だと思いません?僕は「使いたい時に使いたいフォントをアクティブにする」が一番効率がいいと思ってます。
淘汰するならどれが正解か、はnicoriさんの状況次第ではないでしょうか。このデータを使ってくださいと言える立場であればある程度自由は効くと思いますが、(例えば自分のような立場から すると)このデータを使ってくださいと言われる立場であれば合わせるほかありません。データの川下とでもいいますか、このような立場ですと「淘汰する」なんてもってのほかで、入稿されたデータ をデータ通り出力しなければなりません。
確実に言えることは、仕事が動いている間にT1だったりOTFだったり、途中で変えたりしなければあとは自由ではないでしょうか。この仕事はOTFを使ったから最後までOTF、こっちはTTC だから最後までTTC、というふうに、仕事毎にフォントを正しく管理するのが本筋だと僕は考えます。淘汰したい=使わないフォントは排除したいのであれば仕事の切れ目ですればいいし、どれを残 すのが最適解か、であればとりあえずOTF、それも例えばモリサワパスポートなどで提供されるものであればまず問題ないでしょう。
フォント管理という意味で、僕はそれ以上に(形式だけでなく)しっかりとバージョンまで管理できないといけないと考えています。これは例ですが、Adobe Garamond Proの1.007と2.0以上のフォントで、スモールキャプス等の挙動が変わります。
2.0以上のバージョンは、スモールキャプスが適用されますが、それ未満のバージョンでは適用されません(言語設定を日本語から米語などの言語に切り替えれば、2.0未満のフォントでもスモー ルキャプスが反映されます)。
どのフォントを使うかは自由だと思いますが、形式だけでなくバージョンまで含めて、「仕事ごと」に管理するのが前提。フォントの競合は確かに煩わしいけれども、データを受け取る立場からすると 避けては通れない。したがって淘汰はできない。
というのが僕の意見です。